ここでは私自身の苦い思い出話をしましょう。
私は多重債務者でした。
ろくにひとつの借り入れすら完済したためしがない私は、借りたものを返せない間に、いくつもの消費者金融を渡り歩き、借りられるところからはたとえ5万円でも借りました。
インターネットが普及していない時代でしたから、テレビCMで流れていた大手のキャッシング会社で借り、大手が融資してくれなくなったら、次はマチ金と呼ばれる中小企業が経営する消費者金融で融資を受けました。
その次は電話で聞いたこともないような会社から融資を受け、最後には「トイチ」と呼ばれる、法外な金利を貪る個人経営者の融資を受けました。
いや、最後と言う言葉はおかしいですね。
本当に最後に私に融資をしてくれたのは、母親でした。
母は夫亡き後、自分で居酒屋を経営しながら私と兄を育て、お金に関してもとてもしっかりした人でした。
そんな母はお金にルーズな私をいつも叱っていました。
「お前にかえせるわけがない!なのになぜ借金なんかするんだ!」と、罵倒もしました。
毎日ひっきりなしにかかってくる催促の電話、催促状にうんざりしていたのも事実です。
借入の契約をしたときは、親や知人に知られたくない思いで融資を受けたはずなのに、支払いが滞れば否応なく、親に知られてしまうのです。
母も手持ちがたくさんあるわけではないので、家にこれ以上催促にこられたら近所にも知られてしまうのも恐れていましたし、私の身の上も大変心配していました。
そこで、母は生まれて初めて消費者金融で融資を受けることを決意しました。
母もお店を開店するときに既に銀行や公庫から融資を受けていたので、選択肢はあまり無いと思ったようです。
今日にでも融資を受けたいという事もあったので消費者金融を選択したのです。
ただし、母は子供のころ病弱で、ろくに学校にいけなかったので字を書くことを非常に苦手にしていました。
融資を受けるとなると、必要書類や契約書に記入しなければならないので、そのため私と一緒に消費者金融の店舗に赴いたのです。